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シオ
シオに、毎日連絡が来ていたケンから連絡が来なくなって3日後ほどたったある日、テレビのニュースでウルギーが隣の国の内戦に巻き込まれ、民間の集合住宅が誤って爆破されたことを知った。
もしかしたらケンはあの住宅に住んでいたのでは?
スマホで連絡が取れていたし、手紙など小さい頃から書く習慣のなかった二人の間で、住所の交換はされていなかったのだ。
そのニュースから1週間ほど経った頃、中川の家に日本大使館の人と警察が来て、鍵を預けていたと聞いていたと言って、佐藤家のベルを鳴らした。
日本大使館と、警察の人によると、ケンの両親の死亡は確認されたが、ケンがどこにいるかは遺体がなかったため、行方不明で一応届けは出されていると聞かされた。
ただ、大使館の人間は、両親ともに亡くなっているし、ケンが生きている可能性は低いだろうと告げ、佐藤家を後にした。
民間の住宅で中川家のいた住宅だけが爆破されたことで、中川家や、その民間住宅に住んでいた海外の人間は、何か内戦にかかわるようなことをしていたのか調べに来たのだった。
一通り中川家の中を確認し、海外で、何か怪しいことをしていなかったかを調べて何もないことが解ると、再び鍵を佐藤家に返し、帰っていった。
シオは泣いた。泣かないで待つと約束していたが、ケンがいなくなってしまったらもう約束など守ってはいられなかった。
泣いて、泣いて、1週間ほど高校を休んだ。
でも、シオはケンの遺体が見つからなかったことに希望を持つことにした。
ケンは必ず帰ってくる。
帰ってきたときにわかる様に私はこの家で、ケンの家の隣で、ずっとケンの家を守っていようと決めた。
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