空よりも好きなもの

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青い空。 透き通っているかのようだ。 手を伸ばせば、とどきそうなくらい近く感じる。 私は空が好きだ。 晴れてる空を見ると、それだけで嬉しくなる。 太陽が私の顔を照らすと、明るい気分になる。 曇を見るとその向こうに空は何を隠してるんだろうと、ドキドキする。 雨が降りだすと、空はなんて綺麗なものを隠してたんだろうと心が躍る。 雷は、、ちょっとこわいけど、 それでも綺麗だ。 いつみても、飽きないし、綺麗さは変わらない。 だから私はこの窓際の定位置が好きだった。 でも、たまに望んでしまうことがある。 (外に出たいな。) 私は外で遊んだことがない。 この綺麗な空の下で、空気を吸った事がない。 そもそも私は動けない。 『チリンチリン』 久しぶりに聞いた音。 (どうせ私を手に取る人はいないだろう。) そう思い、空を飛んでいる白い鳥を見ていた。 「いらっしゃいませ」 「こんにちは〜外のショーウィンドウから見たんですけど、あそこにあるお人形さんかわいいですね〜」 「だいぶ前からの売れ残りなんだよ。」 「そうなんですか?こんなに可愛いのに。」 「ママ!!あのこにごあいさつしてきてもいい?」 「いいわよ。気をつけて持つのよ」 「はぁーい」   タッタッタッ誰かが来る気配がしてふいに体が持ち上がった。女の子の顔が目の前にある。 「初めまして、あたし、みさきっていうの。あなたのおめめ、とっても綺麗な青色ね。私、青色大好きなの!!」 にっこりと太陽みたいに明るく笑った。 (この人を待っていた気がする。) 唐突にそう思った。 私を抱いたまま、女の子は走った。 「ママ、私このこと、お友達になる!!」 「あらあら、もう大好きなのね。」 「うん!!」 『チリンチリン』 「ありがとうございました。」 初めての外。 透き通るような青い空に 頬を撫でる暖かい風。 そして隣にいる笑顔な君。
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