はじまりはじまり

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1時間くらいずっと荷解きと部屋の掃除をして、やっと片付いた。めんどくさかった 一息ついたところでさっそくゲームでもしようとベッドに寝転がろうとしたらノックが聞こえた。 「佐倉荷解き終わった?夕飯どうする?」 久瀬か。ごはんなぁ 「めんどくさいからいいや」 「は?」 聞こえなかったのか? 仕方なくドタを開けて久瀬に向き合う。久瀬の背が高くて見上げる形になりなんだか悔しいがとりあえず伝えなければ 「ごはん、めんどくさいから俺はいらない」 「……」 ん?なんか姉ちゃんのようなオーラが久瀬から出ている。なんで?怒らせた? びくびくしながら久瀬の言葉を待つ。こういう時は何言っても火に油を注ぐから黙るといいよ 「ダメだよ?」 「ふぇ?」 「今日は食材もないから食堂に行こうか、一緒に、ね?」 こわ、久瀬の後ろに(姉ちゃん)が見える 「佐倉、返事は?」 「……はい」 こういう時は嫌でもとりあえず返事をしたらいいと姉ちゃんで学びました ◇◆◇◆◇◆◇◆ 久瀬に連れられて行った食堂は扉も広さも食べものの価格もこれまた金持ち設定で怖気づいたけれども久瀬がいたおかげでなんとかみかんとかけうどんを注文して食べることができた。 最初はフルーツ盛り合わせを見つけてそれだけ食べようとしたんだけど久瀬に姉ちゃんが憑依しそうになったのでかけうどんにした。かけうどんにしたらフルーツ盛り合わせまでは食べきれないだろうからあきらめたらウェイターさんがみかんをくれた。 かけそばにしたのは1番安かったから。ゼロ3つからがデフォルトみたいな金持ちメニューの中でかけうどんだけが300円メニューだった。なぜ?あ、みかんおいしかった どれだけ食べても特待生なのでお金は学園持ちらしいのだがなんか気が引けるよね 庶民心は忘れずに生きていきたい そんなこんなで食堂できちんと夕食をとって部屋に戻ったところです。 「そういえば同室の人よかったの?」 「高崎?まぁ、あいつは大丈夫だと思うな」 その扱いの差はなに? じとーっと久瀬を見つめていると久瀬は気まずそうに天を仰いだ そして同室の人の名前高崎だったね、そうだそうだ、下の名前出てこないけど 「そうだ佐倉、お風呂入ってきたら?俺はあとでいいから」 「ん、じゃあ先に入る」 お言葉に甘えて先に風呂に入ることにし、タオルや部屋着等を持って玄関から1番近い扉を開ける。 入った左側にお風呂らしき部屋への扉があって奥に洗濯機と洗面台がある。脱衣所はこれまた広い。もう慣れてきちゃったな 「洗濯ってどうしたら?」 脱いだ服を実家にいた時の習慣で洗濯機に入れたところではたと止まる。 俺は他2人とまとめて洗ってしまってもいいけどいやな人もいるだろうし、かといって今俺が洗ったらその間2人は使えないし……とりあえず久瀬に聞くか 見苦しくないようにタオルで裸の上半身を隠し、ドアを開けて久瀬を呼ぶ 「くぜー」 「どうかしたー?ってえ!?そのかっこ!!?」 リビングから顔を出した久瀬はすごく動揺している。ごめん粗末なもん見せて 「あ、ごめん。洗濯って久瀬たちのとまとめてやった方がいい?」 「え!?あ!えと、うん、そうだね……いや!まって……え、、どうしよ」 そこまで動揺するか? 久瀬はあーとかうーとか言いながらわたわた考えている 「いやなら俺の分だけ先に洗っちゃうけど」 「いやではないけど……うん、そうして!」 「わかった」 いやじゃないなら一緒に洗った方が節約できるのでは?とは思うけど金持ち学校に通ってるくらいだし関係ないのか 「……肌しろ」 ◇◆◇◆◇◆◇◆ 浴槽は成人男性が2人入っても余裕がありそうなくらい大きくてこれまた金持ちを感じましたとさ。 大きいお風呂めっちゃ気持ちよかった。これはめんどうでも入る価値あるな なんて思いながら身体を拭いてパンツを履いたところでメガネをつけようとした。が、メガネが見当たらない。 「え、どこ置いたっけ」 服と一緒に置いた気がするけど、違うところに置いてしまったんだろう。 あのメガネ高いからうっかりなくしたり踏んで壊したりできない。 タオルを頭からかぶり、髪の毛から水が落ちるのも気にせずメガネを探す。 本当にどこに置いた? ガチャ「え」「あ?」 なくしたら姉ちゃんに殺されるので焦りが出始めていたころ、無情にもドアが開き、俺はそちらに振り返ってしまった。 そこには黒髪をワックスでたちあがらせ、制服を着崩した、なんというかひとことで言うと不良っぽい高身長のイケメンがいた。ピアスバチバチに空いてて痛そう 久瀬じゃないってことは同室の…たか、たか……なんだっけ たかなんとかさんは俺を見て目を見開いたまま固まっていて、俺もどうしたらいいかわからず固まってしまった。 お互いに微動だにせず沈黙が流れている中、たかなんとかさんの近くの棚の上にメガネを見つけた。 今更かもしれないが前髪を下ろしてタオルを目深にし、そろそろとメガネを取りに行く。 幸いにも固まってくれてるおかげでなにも突っ込まれずメガネのもとにたどり着くことができた。おかえり本体。無事を信じてたよ 「おい、お前その目…」 たかなんとかさんの言葉で心臓も肩もはねあがりそうになるのを堪えてメガネをかけ、彼に向き合う。 不良っぽくて若干怖いんだよ。人は見た目で判断しちゃいけないけどね。 「え……悪い気のせいか」 たかなんとかさんはそう言って俺の顔から視線を下した そう、下した 「……おいっ!!!なんで服着てねぇんだよ!!!!」 俺の付帯物は今、上から メガネ タオル パンツ 以上。 そんな変態に対したかなんとかさんは顔を真っ赤にしてキレている 風呂上がりに入ってきたのはそっちでしょうよ。すぐに服着なかった俺も俺だけど 今日はいろんな人に粗末なものを見せてしまっていて心苦しい。 「すいません粗末なもの見せて」 軽く頭を下げたら濡れた前髪がうざったくてかきあげる。メガネもかけたしな 「~~~~~~っっっっっっ!!!!くそっ!」 たかなんとかさんは急に動き出してバタバタと出て行ってしまった。 そこまで怒りますかね?あ、やばいマスクないじゃん。貧相な体の上に醜い顔がのっかってる変態をみたらそりゃ怒るか 初対面が半裸とかすごい嫌だな。
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