赤と白 第二章 2

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 コロン劇場でも公演は進み中盤に差し掛かった。  コロン劇場でも、歌劇Y&Aの人気は、凄まじく観客を熱狂させた。  【あの二人、凄い演技だわ!  喋るだけで鳥肌が立ってしまう!】    若菜は、ジミー・ブラウンから呼ばれた。 「最終公演の日、お前はイタリア軍から暗殺される。  これは、この公演の最大の見所だ。  しっかり、台本を見て最高の演技を見せてくれ!」 「えっ、私、死んでしまうんですか?」 「そうだ!  でも、もちろん芝居だけどな!  全世界は、ビックリするぞ!」  観客、スタッフ、共演者は最終公演の内容を知らされず公演の終盤を迎えていた。  世界中のファンは、いろんな予想をしていた。 「イタリア軍がワカナを許して、二人は結婚するのよ。」 「ブエノスアイレスで二人は、パトリシア帝王の後に帝王になるんだって!」  世界中、ジミー・ブラウン演出の演劇に誰もが注目していた。  そして、全てのスタッフや関係者が呼ばれて最後の打ち合わせが行われた。  初めて、スタッフや関係者にジミー・ブラウンは全ての演出の内容を明かした。 「イタリア軍がワカナを銃で暗殺する。  その時、全ての照明を消すんだ!  そして、照明が入り明るくなってワカナは見えない糸に吊るされ天国に旅立つのだ。」 「えっ、ワカナが死ぬだって……」 「全世界が泣くぞ!  それが演劇だとしても……」 「演劇に入り込んでる熱狂的なファンは悲しみの余り、イタリア軍を演じてる、スターオリオンに被害が及ぶ可能性だって有るかも知れませんよ。」 「演劇が終われば、元気なワカナが出て来て挨拶すればいい。  テレビでも、これは演劇なんだと、しっかり伝えたら、納得してくれるだろう」    
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