赤と白 第二章 2

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 七・ワカナ暗殺計画     コロン劇場には首脳会談以上の多くの国を代表する人達が早くも集結して、私もアルゼンチンのブエノスアイレスに長期在住していた。  もちろん、若菜に会う為の私用だ。  若菜は忙しい練習を終えて、久しぶりに夜、私は若菜と食事をした。 「いよいよ、明日だな…  三カ月間、お疲れ様、大変だったね。」 「まだ、一日あるよ。  それに明日は私にとって一番、大事な日だから……」 「それって、どういう事?」 「明日、私は死ぬのよ……」 「何、言ってるんだ。   演技の話だろ……」 「そうだけど、なんか怖いの……  ナベちゃん、かすみ草の花言葉て知ってる?」 「んっ……分からない。」 「かすみ草の花言葉は、七つ」 「永遠の愛」「幸福」 「純潔」 「感謝」 「清らかな心」 「無邪気」 「親切」    二〇〇三年四月二九日、三大公演の最終公演を迎えた。  福岡歌劇団から、全てのスターが勢揃いした。 「初めてね!  スター全員が舞台に立つなんて……  私達の付き人が、今では世界的なスターだよ。  私達は、あの二人から逆に沢山の事を教わったわ……」 「そうだね…翼。」    朝から近くにある四つ星ホテルの会場を抑え著名人や首相、大統領が会場を埋めていた。  取材どころではない。  著名人、首相、大統領の周りにはSPが配備されている。  そして私、渡辺圭介も、もちろん出席した。    「しかし、凄い人達一同が会場に集まりましたね。  ジミー、会場の用意が整ったみたいですよ。  ステージに向かわれて下さい。」 「ありがとう。島崎君。」   「皆様、各国、遠い所から遥々お越し下さいまして誠に有難う御座います。  今日、いやっ、日時は変わり、明日の二時に三大公演のラストを迎える事になりました。  最後の結末を知っているのは、公演関係者のみです。  外部には一切漏れず、今日この日まで彼女達は、大変な練習に耐えてファイナルステージまで来れた事を私は誇りに思い、感謝します。  そして、お集まりの皆様、今日は彼女達の最高の演技が観られるでしょう。  では、こころゆくまで楽しんで下さい。」  会場は、盛大な拍手が起こた。   
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