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八・結末
【えっ……
ワカナが撃たれてた……
ワカナ姫、イタリア軍から本当に殺されたの……
これが、最後の結末……】
ワカナ姫は、見えない糸に吊るされて、天井のステンドグラスが開き、そこから光が差し込み天国に登って行った。
【嫌だ!ワカナ姫……】
【何故、ワカナ姫が殺されないといけないの?】
観客は、悲鳴をあげた。
その時、アカネ帝王は本来のアカネ帝王に戻った。
ワカナ姫!
俺の愛しきワカナ姫……
アカネ帝王は、ワカナ姫を殺害したイタリア軍の前で跪き、目から大量の涙が溢れ出した。
「私は、あなた達を許さない。
でも、命ある者、これ以上、争い事は、私は望んでいない」
アカネ帝王は、剣を空に突き上げた。
「ワカナー!ワカナー!」
アカネ帝王は天に向かい、永遠と叫び続けた。
なんとも、ハッピーエンドでもなく、中途半端な終わりだったが、会場の観客は、酔いしれ鳴り止まぬ歓声と拍手で演劇の幕を閉じた。
世界中、この日だけは眠らない人達が沢山いただろう……
「ジミー最高の演技でしたね!」
「ありがとう。
島崎君。
特にワカナの最後の演劇は、凄かった。
あれがプロだよ。
いやっ……
もちろん、アカネも最高だったが、一つだけ気になった事があって……
銃弾の音が二回鳴らなかったか?」
「あまり、気にして無かったですが、練習の時も銃弾は二発じゃなかったのですか…?」
「演出家は、俺だぞ!効果音のミスか…
まぁ、いいかぁ…。
さぁ、最後の挨拶だ。
皆んな、準備は、出来てるか?」
「た、た、た、大変です!
ワカナさんが…。」
「慌ててどうした?」
「ワカナさんが舞台の天井で血を流して倒れてます…。」
「は、は、早く、救急車だ!」
「アルゼンチンの救急車って一・一・九?」
「知るか!
アルゼンチンの人に聞け!」
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