赤と白 第二章 2

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   九・観客の悲劇      「アカネ、最後の挨拶だ……  君から観客や世界の歌劇Y&Aを応援してくれた人々に、ワカナの死を伝えなさい。」 「は、はい。  分かりました……」  場内アナウンスが流れた。  【只今、事情があり出入り口、全てを閉めました。  会場内から出る事が出来ません。  もうしばらく、席を立たずにお願いいたします。】  【何か、あったの?】  【これも、演出かもよ。  ジミー・ブラウンって有名な演出家だそうだし。】  【また、私達に、あっと驚く事を考えているんだわ!】  【楽しみ!】  【それでは、お待たせいたしました。  最高の演技を観せてくださった福岡歌劇団の登場です。】  スターシリウス、スターペガサス、スター北斗、スターオリオンが舞台に上がった。  スター達はワカナの死を聞かされていたが、動揺する事なく観客に手を振り、全員によるラインダンス、早い手拍子でラインダンスも加速した。  【凄いぞ!】  【素晴らしい!芸術だ!】  スター達は、最高のラインダンスをやり切った。  歌劇の為に、いやっ……  ワカナの為に。    【続きまして、歌劇Y&Aのアカネ、舞台にどうぞ!】    【何故、アカネだけ?】  【これが、ジミー・ブラウンの演出なのよ。】  【なるほど!】   「皆様、世界三大公演、無事?  い、いやっ、終わる事が出来ました。」  【アカネが噛んだぞ!】  【珍しいわね!  そんな、事も有るわよ。】 「私達は、スカラ座、オペラ座、コロン劇場と三つの国をまたぎ、このジミー・ブラウンの最高の演劇を世界中にお見せする事が出来ました。  そして、最後のエンディング、ワカナ姫は、天国に旅立ちました。  私との最後の別れでした。  演劇の中でも、そして現実に。」  【えっ……どう言う事?】  【ワカナは、本当に死んだって言う事?】  【そんなな事、ある訳が無い!】  【全て、ジミー・ブラウンの演出が続いているんだ!】  【なるほど!】    
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