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九・観客の悲劇
「アカネ、最後の挨拶だ……
君から観客や世界の歌劇Y&Aを応援してくれた人々に、ワカナの死を伝えなさい。」
「は、はい。
分かりました……」
場内アナウンスが流れた。
【只今、事情があり出入り口、全てを閉めました。
会場内から出る事が出来ません。
もうしばらく、席を立たずにお願いいたします。】
【何か、あったの?】
【これも、演出かもよ。
ジミー・ブラウンって有名な演出家だそうだし。】
【また、私達に、あっと驚く事を考えているんだわ!】
【楽しみ!】
【それでは、お待たせいたしました。
最高の演技を観せてくださった福岡歌劇団の登場です。】
スターシリウス、スターペガサス、スター北斗、スターオリオンが舞台に上がった。
スター達はワカナの死を聞かされていたが、動揺する事なく観客に手を振り、全員によるラインダンス、早い手拍子でラインダンスも加速した。
【凄いぞ!】
【素晴らしい!芸術だ!】
スター達は、最高のラインダンスをやり切った。
歌劇の為に、いやっ……
ワカナの為に。
【続きまして、歌劇Y&Aのアカネ、舞台にどうぞ!】
【何故、アカネだけ?】
【これが、ジミー・ブラウンの演出なのよ。】
【なるほど!】
「皆様、世界三大公演、無事?
い、いやっ、終わる事が出来ました。」
【アカネが噛んだぞ!】
【珍しいわね!
そんな、事も有るわよ。】
「私達は、スカラ座、オペラ座、コロン劇場と三つの国をまたぎ、このジミー・ブラウンの最高の演劇を世界中にお見せする事が出来ました。
そして、最後のエンディング、ワカナ姫は、天国に旅立ちました。
私との最後の別れでした。
演劇の中でも、そして現実に。」
【えっ……どう言う事?】
【ワカナは、本当に死んだって言う事?】
【そんなな事、ある訳が無い!】
【全て、ジミー・ブラウンの演出が続いているんだ!】
【なるほど!】
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