赤と白 第二章 2

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 三・三大公演開始      二〇〇三年二月一日  イタリア ミラノ・スカラ座公演を皮切りに三大公演が開始された。  ミラノ・スカラ座の収容人数は、二千人の会場だが、全ての公演が全世界に衛星中継される。  スカラ座に入れる二千枚のチケットは、闇業者から百万の高値で売買されてる噂さえ流れた。  イタリアのアンドレア首相の挨拶からスカラ座公演はスタートした。  【私の親友、圭介渡辺とは国際会議で意気投合した中だ。  そして、圭介の夫人、ワカナは私達、イタリアでも知らない人はいないビックなスターだ。  私は、ここで歌劇Y&Aと福岡歌劇団のショーを心待ちにしていた。  夜中、二時の無茶苦茶な時間だが、私がスカラ座に無理を言って押さえて貰ったんだ!  凄いだろ!  それでは、楽しみに観させてもらうよ。】 「結局、最後は首相の自慢話だったね……  何処の首相も変わらないね、若菜。」 「ごめん……」 「あっ……」  公演時間は三時間、福岡歌劇団のスターシリウスが出てきた。  一列に揃うと、岬と花椿の掛け声でラインダンスが始まった。  いつもとは雰囲気が違う。  いつもは、熱い声援などて賑わう会場は、ここスカラ座では場内は静まり返り観客は息を呑んで、福岡歌劇団のラインダンスと煌びやかな衣装を堪能した。  ラインダンスが終わった途端に会場席とバルコニー席から割れんばかりの拍手喝采と声援がスターシリウスに送られた。  岬光也がマイクを持ち、イタリア語で話し出した。  【皆さん、初めまして!  スターシリウスです。  今から、お待ちかねの歌劇Y&Aの登場です。】  二人は、静かにスターシリウスの中央に入り、再び二人を入れたラインダンスがスタートした。  もう、観客は静まり返っていない。  凄い熱狂だ。  観客は総立ちになり、シリウスと歌劇Y&Aのコラボは徐々にエンジンのギアを上げて行った。  【素晴らしい!】  【凄いぞ!  彼女達は人間じゃない!ロボットだ。  一つの狂いも無いなんて!】  
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