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「どうしよ……彼氏にパパ活やってんのバレたかも」
目の前に並ぶ、箸みたいに細長い足を短いスカートから覗かせている他校の女子高生がスマホ片手に呟く。
「マジで?」
「最悪なんだけど」
騒ぐ二人組の後ろ姿を、ぽかんと口を開けながら私と親友の梓は眺めていた。
「申し訳ありません、本日分の整理券配布は終了となりました」
申し訳なさそうな顔をしながらやってきた店員さんが、無慈悲にも私達の目の前で列の仕切り用のチェーンを掛ける。
「えっ」
「はあ?」
目を見開く私と、あからさまに不満そうな声を漏らす梓に小さく頭を下げるとキャラクターが描かれたエプロンを身に付けた『ちぇかわPOP UP SHOP』の店員さんは踵を返して行った。
「マジで人生終わった」
「元気出してよぉ」
「別れるってなったらどうしよう」
めそめそしながらも決して列から離れない例の二人組を、つい恨めしそうな目で見てしまう。
ちぇかわSHOPに入れるだけ捨てたもんじゃない人生だろうが、ウチらなんて1時間並んで入れなかったんだぞ。
落胆する声を口々に漏らしながら後ろに並んでいた人達が蜘蛛の子を散らすように去って行く。
「悔しいからさぁ、ウルトラカメラでちぇかわのガチャガチャやって帰ろう」
「……そだね、そうしよ」
私と梓は肩を並べて、トボトボと歩き出した。
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