家電量販店と女子高生

「私がトムクルーズだったら、ちぇかわSHOPくらい顔パスなんだろうな」
「トムはそもそもあの列には並ばないと思うよ。事務所に送られてくるでしょ」

　しれっと梓はそう言ってから、椅子に揺られながら言葉を続けた。

「しかもあんたがトムクルーズになったら、命懸けのアクションシーンやんなきゃいけなくなるんだよ。崖から飛び降りたり、飛行機にしがみついたり出来んの？」
「それは無理だなぁ……やっぱ黒柳徹子くらいが良いかな」
「それはそれで黒柳徹子に失礼っしょ」
「徹子の部屋へよぉこそ」

　物真似しながら言うと、椅子の振動のおかげでそれなりに似ていて、私達は二人揃って爆笑した。