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電車に揺られながら、頭上に貼られた推しのアイドルがシャンプーを持って写っている広告を見上げる。
「マジでかっこいいー。今度からこのシャンプー使おう」
「私、今使ってるのこれだよ」
「えっ、ほんとに?!」
しれっと言い放った梓の一言に、私はぎょっと目を見開く。
「ねぇ、どんな匂いなの。頭嗅がせて」
「なんでよ、絶対嫌だよ」
梓は顔を顰めて仰け反った。
私達はいつもこの調子である。
「あんたもしこの先、推しが車のCM出たらその車も買う気なの?」
「買う買う!」
「無人島のCMに出たら無人島買うの?」
「無人島買う!」
「……バカだねぇ」
車の宣伝をする推しを想像して、絶対かっこいいじゃんと蕩ける私の肩を梓がとんとんと叩く。
「……ねぇ、なんか忘れてると思ったらウチら、ちぇかわのガチャガチャやってないじゃん」
「あ、ほんとだっ!」
「何しにウルトラカメラ行ったの」
無慈悲にも電車はどんどん進んでいき、決してウルトラカメラへは後戻りできないのであった!
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