第二章 真夏のかき氷

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 まだ午前の範疇に入るこの時間の海はそれほど水温も上がっていません。照りつける太陽の暑さはあるとはいえ、夏を感じるにはもってこいのシチュエーションなのでした。 「これだけでも数年振りかも」 「栞菜ちゃん、心配してましたよ。無理矢理連れて来たから嫌な思いしてるんじゃないかって」 「そういうわけじゃないよ。俺、栞菜の水着姿見れただけでも来た甲斐あったと思ってるし」 「あぁ、それは本人を前に露骨に大喜び出来ないやつですね」  恋する男の子にとって好きな女の子の水着姿というものはやはり特別なものであるらしいです。私にはよくわからない感情ですが。  私は真さんよりも少しだけ深い場所に潜ってざぶんと水に浸かりました。日光で熱くなった肌を全身を包む水が心地よく冷やしてくれます。 「真さんも上脱いで泳いでも良いんですよ」 「だって俺、筋肉とかないし嫌に決まってるじゃん!」 「誰も見てないですし、インドアな真さんにそんなところ期待しませんって」
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