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何が起きたのかわからなくって、暫く結那と見つめ合っていた。 「はい?」「ゴメンね?もう気付いてるのかと思ってたから……でも、そこまで鈍感だとは思わなかったよ!」 結那は呑気に人を小馬鹿にしながら談笑し始める。 「この間だって、好きなモノ聞いてきたからちゃんと答えてあげたのに。奏人ったら全然分かってないんだもの」「えっ?あ、あれ、本気だったのか……!?」「当たり前でしょ!だって俺、ずっと奏人しか見てないよ」 そう言って、結那は俺の腰に手を回し、身体を近づけ再びキスをしようとする。 「えっ、ちょちょまっ……その手には乗らんッ!!」「ちぇー」 俺は慌てて結那の顔を押し退けると、結那は不貞腐れた様に唇を尖らせた。 「俺まだ返事してねーのにちゅーしようとするなっ!!」 必死に結那を押しながらも、ガッチリ腰を掴まれたままの俺は、これ以上どうする事も出来ずにいた。一方、結那は俺の押しを物ともせずに告げる。 「さっき告白してきたじゃん!」「あ、あれは悪ふざけで……」「でも告白には変わりないでしょ!それに奏人だったらいつでもOK出してあげるよ?」 俺の耳元に顔を近づけついでに囁きながら、結那は履いてるスカートから出た俺の太腿に手を這わせる。 「オイオイオイッ嘘だろ……!?」「本気だけど?」 太腿をゆっくり撫でる結那に青ざめながらも、俺はその手を押さえ込んだ。 「ぎゃあああ〜〜!!ヤメロよ変態ッッ!!」「やめて欲しかったら俺と付き合ってよ?」「はぁあ!?ふざけんなっ!誰がお前なんかと─────」「なら、既成事実作くろうか……?」「ぎゃあああ怖い怖い怖い〜〜!!スンマセンしたぁぁ!!付き合いますッ!付き合いますからボディには手を出さないで!!お願いしますッ!!」 こうして腹黒い友情に手を出され掛けた俺は、泣く泣く結那と付き合う事になった。 「やったぁ!これからヨロシクね?奏人!」「クソぅ。半ば脅迫だろコレ……つか離せ!たくっ」 何とか開放されて安堵する俺に、結那が不思議そうに訊ねてくる。 「ところで奏人、どうして女装なんてしてるの?」「それはお前にムカついてたから、復讐がてらの嫌がらせをしようと思って……告白してOK貰ったらネタバラしして恥をかかせようと」「ふぅん。その発想が実に奏人らしいね!」「あっ馬鹿にしてるだろ?そーだなッ!?」 ヒトを小馬鹿にした態度に突っかかると、結那は笑って俺の頬にキスをした。 「違うよ。そういうところが可愛いと思っただけだよ!」「だ〜からチューはするなってえ!!」 罠に嵌めようとした結那に、まんまとしてやられた俺は、深いため息を吐いたのだった……。
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