おばけなんていない

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 でも、友人の明美(あけみ)は、おばけはいると言う。 「ねえねえ、おばけ村ツアーいこ!」  今回もそう言って由美子を一泊二日の温泉旅行に連れ出したのは明美だ。何やらいわくつきの温泉街があるらしい。  着いてみたら普通の温泉街で、旅館も古くはあるけれど幽霊屋敷などではなく、老舗のいい雰囲気の旅館だ。  それでも明美は「いかにも幽霊が出そうだよね」なんて言いながら、嬉しそうに周りをキョロキョロ見回していた。  由美子はため息をつきながら、それでも温泉は嫌いではないので、せっかくの休みだから湯に浸かってゆっくりしようと思った。
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