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講堂でも四人は同じ列の席だった。
式は滞りなく終わった。
この後は配属先の学校へ行くことになる。
学校も同じ方向なので、四人で向かうことになった。
前を大輔と夏希、後ろを結衣と真で駅の方へ歩いた。
「……白石先生、相変わらず落ち着いてるね」
結衣が話し掛けた。
「そう?」
「私、この後の職員室の挨拶緊張するなあ」
「それは俺もそうだよ」
「去年経験していても?」
「ああ」
実は真とは三月に配属先の学校に、事前に挨拶に行った時に会っていた。彼は昨年度常勤講師として別の学校で経験をしていて、年齢も結衣の一つ上だということをその時に知った。
「担任…どこの学年になるかな」
「俺は高学年かもしれない」
「そうなの?」
「去年担任を経験してるから。そうじゃなければ大抵新卒は二、三、四年のどこかで担任を持つんだけどな。実は校長先生から高学年もあり得るかもしれないって言われたんだ」
「そうなんだ」
白石先生よく知ってるな。一年経験してると違うのね。この間も思ったけど冷静というか飄々としてるし。
それにイケメンだからスーツ似合ってる。 馬子にも衣装と大ちゃんにからかわれた私とは大違いだよ。
前を見ると、夏希が気さくな様子で大輔に話し掛けていた。
黛先生も物怖じしてない感じがする。私、オタオタしてると笑われるかも。
ちょっと気を引き締めないと…
するとクスッと隣で笑う声がした。
「な、何?」
結衣は真に言った。
「いや…北川さん、思ったことが結構顔に出るなと思って」
「えっ」
「意外だな。一見クールな感じなのにな」
「は、はあ…」
白石先生は先輩にしか見えないですけどね。
膨れてると二人のやり取りを聞いていたのか、大輔がこちらに振り返り結衣を見て「変な顔」と呟いた。
「わ、悪かったわね」と結衣が言い返してると、今度はそれを見ていた夏希がニヤニヤし出した。
そんなこんなしていると駅に着いたのだった。
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