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電車の中はそこそこ混んでいた。四人で立っていると夏希が唐突に結衣に話し掛けた。
「ねえ、北川さんと長谷川先生ってどういう関係?」
「えっあ、あの知り合いで…」
「どんな?」
「えっと…」
結衣は言い淀んでしまった。
「小学校が一緒なんだよ」
代わりに大輔が答えた。
「へえ〜っじゃあ幼馴染みとか?」
「う、うん」結衣が答えた。
「そうなんだ」
真も少し驚いて呟いた。
「何、もしかして小学校の時に二人で先生目指そうとか約束したの?」
夏希はニヤッと笑って言った。
「そんな訳ねえだろ。偶然だよ」
「なあんだ」
夏希はがっかりしたように言った。
黛先生って何か変わってる…でも、悪い人じゃなさそう。それ程感じ悪くないし。
そういえば大ちゃん、何で先生を目指したんだろう。確かに意外というか…でも考えてみたら大きくなった大ちゃんのことよく知らない。当たり前か。
そこからはお互いにそこまで話をしなかった。やはり皆、これから向かう配属先の学校のことが気になっていた。
施設から学校はそこまで遠くはなく、暫く経つと先に結衣たちが降りる駅に着いた。
「お先に」
結衣たちが声を掛けると「ああ」「またね」と大輔たちは手を振った。
大輔たちと別れて、ようやく結衣たちは配属先の小学校に着いたのだった。
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