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挨拶は無難に終わり、結衣は三年生に配属されることになった。真は予想していた通り五年生だった。
この学校は三、四クラスある規模の学校だった。結衣と学年を組む先生はベテランの先生と三十代の先生で、どちらも女性だった。
学年主任の先生から指示されたことをこなしているとあっという間に六時になり、今日はここまでで帰っていいと言われた。
アパートに帰るとどっと疲れが出た。
……当たり前だけど夕飯は自分で何とかしないとね。今からシャワーを浴びて、着替えて…
部屋の中はシーンとしていた。
スマホで誰かと連絡とらないとずっと一人か。
……大ちゃんはまだ帰ってないのかな?
たった初日だが無性に心細くなった。
ダメダメこんな情けないことじゃ。家を出てる社会人の人なんて山程いるじゃない。頑張らなきゃ。
結衣は自分で自分を叱咤激励したのだった。
こうして数日が過ぎた。
ようやく金曜日が来た。
簡単な夕飯を済ませた頃に大輔からLINEが入った。
『お疲れ。明日自転車買いに行ける?』
数日しか経ってないのに、何か大ちゃんとやり取りするのも久し振りな気がする。私も毎日過ごすので必死だけど大ちゃんもきっとそうだよね。
『付き合ってもらっていいの?』
『そういう約束だから大丈夫』
申し訳ないけど、お言葉に甘えようかな。職場では学年の先生と過ごすのが殆どで、同世代の人と話してないから大ちゃんと会えるのは何だかホッとする。
結衣は大輔と暫くLINEのやり取りを続け、明日の午後自転車を見て、買い物も一緒に行くことにになった。
明日会ったら今度こそ昔のことを謝ろう。
結衣はドキドキして明日を迎えたのだった。
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