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ホームセンターでの買い物も済み、大輔の車は再び自転車屋の前で停まった。
「ありがとう、大ちゃん。後は自転車に乗って帰るから」
「じゃ、アパートに着いたら買った荷物取りに来いよ。お前の分は取り敢えず俺の部屋に置いておくから」
「ごめんね」
ホームセンターで大輔の買う物を見ていたら自分もあれこれないことに気付き、結構買ってしまったのだ。
結衣は車を降りて、店の中に入って行った。
自転車を受け取り、自分の部屋に着いた。
辺りはすっかり夕暮れ時になっていた。
思ったより買い物に時間が掛かっちゃったもんね。でも大ちゃんと一緒は有り難かったな。人と話しながら買う物を決めるのは心強かったし、自分一人じゃあんな荷物運べない。
それに大ちゃん昔と変わらない感じで安心した。
大輔は元々穏やかな気質だ。口調は少しぶっきらぼうなところはあるが、結衣の話すことにはちゃんと耳を傾けてくれていた。
よしっ、行こう。
結衣は台所に行き、午前中に用意しておいた鍋を持って大輔の部屋を訪ねた。
部屋のインターホンを鳴らすと大輔が出た。
「自転車は大丈夫だったか?」
「うん、乗って帰って下の駐輪場に置いてあるよ。ありがとね」
「そうか、じゃこれ…」
大輔はホームセンターで買った物が入った袋を渡そうとしたが、結衣が鍋を持っているのに気が付いた。
「それは?」
「大ちゃん、良かったら食べて。カレーなの」
結衣はドキドキしながらカレーの入った鍋を差し出した。
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