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「……だから俺も返事を書かねえとと思ったんだけど、罰が悪くて書けなかった。それは悪かったなって…」
大ちゃんも同じ気持ちだったんだ。
「良かった。大ちゃん無理して私に付き合ってるのかと思ってたから」
「そんな訳ねえだろ。もしそうなら最初から結衣がこのアパートに越してくるのを断ってたよ」
「そっか…」
「結衣、飲もうぜ。そういえば乾杯もしてなかったな」
大輔とビールの缶をカチンと合わせた。
少し飲んで結衣は呟いた。
「変な感じ。大ちゃんとビールを飲むなんてね」
「お互いに歳食ったってことだ」
「それはさすがに言い過ぎじゃない?」
結衣は笑った。そして思いきって聞いてみた。
「ねえ、大ちゃん」
「ん?」
「結局大ちゃんの昔好きな人って誰だったの?」
「……は?」
大輔は固まった。
「別のクラスの子って言ってたでしょ?誰だったのかな〜って」
「……お前わかんねえの?」
「うん」
「じゃ、笹垣がお前に絡んだのは何でなんだ?」
「私が単なる幼馴染みだからでしょ?」
結衣はキョトンとして答えた。
大輔は結衣をじっと見てため息を付いた。
「……やっぱ結衣って天然なんだな。再会してから薄々そうかなって思ってたんだ。俺、ガキだったから騙されてたのか」
「な、何よそれ」
「しっかり者だったのは過去の話なんだな。寧ろ今は俺がしっかりしねえとな」
「ち、ちょっと何勝手な事言ってるのっそれより質問の答えは?結局誰が好きだったのよ」
「もういいよ、その話は………お前のあんま知らねえ奴だよ」
「ケチ。教えてくれたっていいのに」
「それより、結衣は今、彼氏いんの?」
「え?」
大輔に逆に聞かれて結衣はドキッとなった。
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