思いもよらぬ再会

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 大輔はスマホを持って戻ってきた。 「結衣、連絡先交換しよう」 「う、うん、じゃあ私もスマホ持ってくる」  結衣もスマホを取りに行った。  結衣は大輔と連絡先を交換した。 「辞令交付式が四月一日にあるだろ?一緒に行こうぜ」 「え?い、いいの?」 「同じ場所に行くのに何もバラバラで行く必要ねえだろ」 「う、うん、ありがとう…」  結衣は大輔を見上げた。  大ちゃん背、伸びたんだ。それに…よく見ると結構イケメンだ…って私、何考えてるんだか。  すると大輔がフッと笑った。 「な、何?」 「いや、結衣を見下ろしてんなと思って。ガキの頃はお前の方が背が高かったのにさ」 「あ、あの、大ちゃん…」 「何?」 「やっぱなんでもない」 「なんだよ」 「ご、ごめん、じゃ私はこれで…」 「まだ挨拶まわりすんのか?」 「うん、このフロアの人には」 「終わったらちゃんと戸締まりすんだぞ」 「大丈夫だよ」     すると大輔は結衣の頭をポンポン叩いた。 「何か今のお前見てると危なっかしい」  結衣は内心ドキッとした。 「一人暮らしも初めてだから、今だけそう見えるんじゃない?元々私はしっかり者なんだから」  結衣がそう言うと、大輔は吹き出した。 「お前、それ自分で言うか?」  だ、ダメだ、大ちゃんといるとどんどん調子を狂わされる。 「じ、じゃあ、これで。お休み」  今度こそ結衣は部屋に戻ろうとした。 「結衣」 「何?」 「困ったことがあったら遠慮なく連絡しろよ。LINEでもいいから」  大輔は優しく言った。 「あ、ありがとう」  結衣は大輔の態度に面食らいながら部屋に戻ったのだった。
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