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お母さん、全然悪びれてなかった。確かにお母さんは大ちゃんのお母さんと引っ越ししてからも連絡取り合ってたから、あの態度なのかもしれないけど。それにしたって…
私は…大ちゃんとは気まずいのに…
結衣はソファに持たれて、昔を思い返していた。
大ちゃん一家とはたまたまマンションの隣同士に住んでいて、私と同い年だということで家族ぐるみで仲良くしてたっけ。
小さい頃は大ちゃんは背が低くて、私は逆に背が高い方だったから、一緒にいると姉弟みたいに見られた。私も大ちゃんも一人っ子だったから、私はお姉さん気分で大ちゃんの世話をよく焼いてたっけ…
その頃は大ちゃん、私のことを「結衣ちゃん」って呼んでたし、ほんと弟みたいだった。
小学校に入学してからもその関係は続いて、でも学年が上がるにつれてさすがにいつも一緒というのは減ってきたっけ。
五年生ぐらいから、大ちゃん身長が伸びて、ちょっと周りの女の子たちの見る目も変わったんだよね。大輔も案外格好良いって。大ちゃん元々顔立ちは整っていたしね。
私は相変わらず弟みたいに思ってたけど…
それで大ちゃんのお父さんの仕事の関係でこの市に転校することが決まったんだっけ。
その話を聞いた時はとても寂しかった。
なのに…私は…大ちゃんに…酷い事を……
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