幼馴染み

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 あれは大ちゃんが転校する一週間前ぐらいのことだった。  五年生はクラスも違って話す機会も減ってしまったが、会えばお互いいつも通りだった。  私は大ちゃんが引っ越しする時に渡そうとプレゼントや手紙を用意していた。  しかし帰る時下駄箱で、大ちゃんと同じクラスの笹垣さんたちに突然話し掛けられた。 『北川さんて、大輔と仲がいいんだって?』  私は笹垣さんたちとは全然仲良くなかった。  笹垣さんたちはいつも三人でつるんでいて、どの子も性格がキツいし、時々意地悪なことも言うので寧ろ苦手だった。    笹垣さんが私に話し掛けた言い方も、何故かトゲがあった。 『別に…小さい頃から知ってるだけ。マンションが隣だし』  私は警戒して当たり障りのない答えにした。  しかし彼女たちはその返事に突っ掛かってきた。 『嘘でしょ?だって北川さん、大ちゃんって呼んでるし向こうも結衣って呼ぶし仲いいじゃん』  側にいた木本さんが言った。 『別に呼び方は関係ないと思うけど…』 『北川さん、本当は大輔のこと好きなんでしょ』  笹垣さんは決め付けるように言った。それも私を睨んでいた。  その時私はあっと思った。  そういえば前に笹垣さんが大ちゃんのことを好きだって噂が流れてきた。大ちゃん、転校することがわかってから妙に女の子にモテだしたんだよね。だから私が気にいらなくてこんなことを言うのかも。  嫌だな…早く帰っちゃいたい…  
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