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『そういう訳じゃ…』
『どうせ転校していなくなるから告ればいいじゃない』
『そうよ、そうしたら?』
『私ら機会作ってあげようか?』
笹垣さんたちは私の言葉に聞く耳を持たなかった。
彼女たちは悪意のある冷やかしを続けた。
私はそれにだんだん腹が立ってきた。
『もう、やめてよ!』
私は叫んだ。そして思わず思ってもいないことを口走ってしまった。
『あのさあ、大輔のことを誰が好きだって言った?私はあんな一人じゃ何にもできない奴好きでもなんでもないんだからっ』
すると笹垣さんたちがマズいという顔をした。
何?
私は後ろを振り返った。
!
私も固まってしまった。
いつの間にか大ちゃんがすぐ後ろに立っていた。
『だ、大輔、聞いたでしょ。残念だったね。北川さんはあんたのことを好きではないみたいよ』
笹垣さんが捨て台詞のようなことを吐いて三人は足早に去って行った。
大ちゃんは無言で靴を履き替えた。
『あ、あの…大ちゃん…』
私は必死で大ちゃんに話し掛けた。
大ちゃんは私を睨んだ。
私はそんな大ちゃんの顔を見るのは初めてだったので竦んでしまった。
『俺だってお前みたいにお節介な奴、好きでもなんでもねえよ。あー引っ越しできて良かった。これで顔見なくていいもんなっ』
大ちゃんはそう言い捨てて走って行った。
私はショックでその場を動けなかったのだった……。
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