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1.神田明神
その日、ふと思い立って、朝早くから神田明神にお参りに行ってみることにした。
秋葉原の電気街はいつもオタク友達と一緒にマンガを買ったりアニメのグッズを買ったりして歩き回るけど、神田明神を訪れるのは今回が初めてだった。
スマホにダウンロードしてあるグーグルアプリで神田明神までの道をナビゲーションしてもらう。ナビが示した道は分かりづらく遠回りだったが、道すがら新たな電気街の一面を見ることもできたのでよしとする。
スマホの画面で道を確かめながら街を歩いて、坂道を上る。神田明神の近くに立派なお屋敷があったが、アプリの地図には何も記載されていないので個人宅なのだろうか。
青銅色の鳥居をくぐり、甘酒のお店を通り過ぎて赤い門をくぐった先にあった神田明神の境内は、俗世から切り離されていた。否、境内にアイスクリームやお土産も売っている減退的なショップがあったから、俗世と切り離されている、とはちょっと違うのかも知れない。
とにかく、朝の神田明神は清々しい空気で満ちていた。朝ということもあってか、参拝客も少ない。私はそれでもできている参拝客の行列の最後尾に並び、財布から小銭を取り出して自分の順番を待った。
自分の順番が近づいていき、本殿の屋根の下に入ると、ミストが顔にかかった。頭上を見上げると、屋根の下からミストが噴いている。暑い夏にこれはありがたかった。
私の番が回ってきた。小銭を賽銭箱に入れ、二礼二拍手をしてからお願い事をする。そして一礼して、階段を下りた。境内のショップに向かう。そこではお守りやお札、絵馬の他に神棚や清め塩を購入することができた。もちろん御朱印帳だって貰える。
私は絵馬を購入した。書いていくか巫女さんに尋ねられた際、迷ったが自分の家に飾っておきたいと思い、今回は願い事を書くのは断念することにした。また神田明神を訪れる機会があったら、そのときは絵馬に願い事を書こうと思う。
絵馬を買ったあとは神田明神から立ち去り、人々で賑わい始めた秋葉原の電気街に戻り、人の流れに逆らうように歩いて帰った。
神社を一度訪れると、再び神社にいきたくなる。
次はいつ行こうかな、と私は電車に揺られながら次の機会に思いを馳せた。
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