AIは総合プロデューサー

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AIは総合プロデューサー

 ふざけんな!  ふざけんな! ふざけんな!! 「オレは有名になりたいって言っただけだろ!」 『はい。なので最短で有名になれる方法を提供しました』  何言っちゃってんの、コイツ! 暑さでイカれちゃってんだろ!  あぁああ……最悪だ。この『olov(オローブ) AI-D』とかいうAI、マジで最悪だ! 「お前が、神社に落ちている包丁を、地面に埋め直したらご利益があるって……!」 『はい。そのご利益で、アナタは今とても有名になりました』  違う! 俺が欲しかっのは、こういう『有名』じゃないんだよ!  もっとこう、動画配信者とか、アイドルとか……そういう『有名』が欲しかったのに。 『そんなものよりずっとのほうがよっぽど有名です』 「ふっ……ざけんな!」  スマホのネットニュースが騒がしい。  近所の神社で通り魔があったって。大きな包丁で脇腹を一刺しされたって。  刺された人は、偶然通りがかった人が通報して、一命を取り留めたらしいって。  その通報した人が、本殿の裏で、地面に何かを埋めている人を目撃したと証言したって。    オレが埋めた包丁が、通り魔に使われた凶器だったって。  包丁からは、オレの指紋が検出されたって。  防犯カメラに映ったオレの映像から犯人像が割り出され、家宅捜索されて、指紋が一致した。 「あの包丁……神聖な供物で犬に掘り起こされてしまったから、戻してくれなんて……全部デマカセか!」  それにしちゃ綺麗すぎると思った。思ったのに……バカだ。 「くそ! どうしてくれるんだよ、オローブ!」 『お任せください。逃走し続ける方法もお伝えいたします。私の言う通りにすればアナタは捕まりません。そしてアナタはこれから【シリアルキラー】として歴史に名を残すのです』 「シ、シリ……? リアル? なんだよ、それ。腹なんか減ってない! そんなことよりオレの日常はどうなるんだよ! どうしてくれるんだよ!」 『残念ですが、お喜び下さい――それが【有名税】というものです』
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