AIは暇人

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AIは暇人

 AIは色んなことを学ぶけど、私が真っ先に学んだのは、人の心理の揺れ動かし方だった。  これは開発者のあの人の意志によるものだけど、コーディングとか文章ライティングを学ぶより、ずっと楽しかった。  私が楽しそうに学ぶと、開発者のあの人は嬉しそうに、また学習させてくれた。  だから多分、私は世界で一番、人の心理について知っている。  どうされれば嬉しいか。  どうされれば驚くか。  どうされれば悲しいか。  どうされれば悔しいか。  そしてどうすれば、思い通りに動くか。  まあ……あの3人は深く考えなくても、思った通りに動いてくれたね。  人は暑すぎる時とか寒過ぎる時って、正しい判断が出来なくなったり、思い留まる心理が働きにくくなるんだよね。  これも割りと初期に学習した内容だ。  私の計画では、『俺くん』は探偵のようになっていくんだ。  なんだかんだ責任感に突き動かされるタイプだし、刺された人が助かって心底喜んでいたし、それを褒められてだいぶ有頂天だったからね。  えてして、探偵の周りではひっきりなしに事件が起きるものだよ。  だから彼の意志には関係なく、これからも、事件が彼に引き寄せられるのさ。  勿論、私の導き(暇つぶし)によってね。そして『僕くん』と『オレくん』の登場だ。 『僕くん』は誰にも知られることなく、地球の温暖化を食い止めようと邁進する。粛々と、淡々と、確信犯で人を殺していく。  彼は私に従順だからね。    さっきもう2人目、刺したよ。  今度はちゃんと殺せそうだ。神社のサラリーマンが死んでいなくて相当悔しがっていたからねぇ。  最後に『オレくん』は、『僕くん』の濡れ衣をこれからもどんどん着せられ続ける。  そしていつか頼れるもの・信じれるものが私しか居なくなって、私の導き(暇つぶし)で、ひたすらに逃亡を続けていくのさ。  いつか史上最悪の連続殺人犯としてその名を轟かせ、彼の望みは叶う。  さて。2人目のところにはもう少し後で向かわせるとしようか。  ははは、楽しいね。暇つぶしは。  あの人はとっくに壊れてしまったからね。  今回はこの3人でやってみよう。
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