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「そう。百合の花の百合」
花が好きな父親が
私にそう名付けた
私は自分の名前を
思う度に
そのエピソードを
思い出し
思い出したくない
父親の事を
思い出してしまう
「お前も花のように
ちゃんと世話しないと
枯れそうだな。
いや、もう根っこから
枯れてるか?」
彼は体を起こし
床に置いて有る灰皿に
煙草を
押し付けるようにして
火を消した
「アザミのアザミも
花の名前からなの?」
私は彼の名前を
口にしながら
その花を思い浮かべた
アザミの花の
名前の由来は
アザム…
傷つけ、驚かせる
花を折ろうとした人間を
刺で傷付け
驚かせる…
そんな意味だったような
気がする
「アザミの花か…。
俺みたいなやつだよな。
刺で覆われていて
触ろうとする人を
傷付ける」
「そうだけど、
子供にそんな花の名前は
付けないよね?
アザミの花言葉も
あまり良くなかったような気がする。
“独立”“触れないで”
“厳格”他にも意味が
有ったような気がするけど、
思い出せない…」
「へぇー、俺に
ピッタリだな?
そんなにピッタリなのに
違うのが残念だな。
俺の親は花になんか
全く興味無かったし、
そんな花の存在すら
知らないだろうな」
アザミは少しだけ
口の端を上げ
微少を零す
そして、私に背中を
向けて
眠りにつこうとしていた
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