Ⅸ 彼は、狂ってない

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朝、いつものように 学校へと向かう途中 鞄の中に入れて有る 携帯電話が 電話を着信して 震えていた 頭の中にアザミの事が 浮かんだからか 私は何かを 期待するように それを直ぐに取り出した だけど ディスプレイに写るのは 知らない11ケタの数字 私は訝りながらも その電話に出た 「――はい」 『金城ですけど 急に電話してごめんね』 その名前と声を聞いて 私の中で怒りが湧いた 私の事を調べた時に 携帯電話の番号迄も 調べていたのだろうか? それとも、アザミの 携帯電話から 盗み見ていたのだろうか? 『百合ちゃん アザミの部屋の鍵 持ってない?』 「えっ――」 私はその問いに対する 向こうの意図が見えなくて 最初戸惑ったが 「――持ってますよ」 そう素直に答えた アザミが返せと 言っているのだと 思った 自分で言えないから 金城さんに 頼んだんだ… だけど、直接アザミが 言わないなら 私は返したくない
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