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あなたへ
私は運良く、この戦いを生き抜きました。
それでももう、長くは生きられないでしょう。
草の上に寝転がって、そんなことを考えています。
今日のそらは綺麗です。
浮雲がひとつ、ふたつと、優しく泳いでいます。
まるで水色の画用紙に、クレヨンで描いたように。
少しずつ、この世界に流れる時間の速度が遅くなっていくように感じます。
失ったものは、もう戻りません。
それでも、うつくしい世界が
また少しずつ、私の前に姿を現してくれたのに。
もう私は、何もいりません。
名前も知らないあなたに出会えたことが私の小さい人生の、1番の宝物です。
ありがとうございました。届くことも、ないけれど。
そらより
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