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『却下します』
ゲートのシャッターは無慈悲にもガシャンと閉まった。
「そんなバカな。地獄の沙汰も金次第でしょ? そのために溜め込んだのに! 開けてくれ、開けてくれー!」
順番が中々来ない理由が分かった。こうやって駄々をこねる奴がいるからだ。
「さっさと行けよ! 後ろ詰まってるんだぞ!」
「そうだ。極悪人はとっとと失せろ!」
後ろから待ちくたびれた人たちの野次が飛ぶ。それでも霊能力男がシャッターを叩きわめき続けていると、再びドローンが現れた。ドローンはその足でガッシリと霊能力男を掴み、空中へと上がった。「降ろせ!」と暴れる霊能力男は川下の方へと運ばれて行った。
まさか霊能力男が悪徳霊能力者だったとは。しかしそれを瞬時に判断するとは優秀なシステムだ。これが人間界にあったら防犯に役立つのに。そう思っているとゲートから声がした。
『次の方お進みください』
順番が回ってきた。いよいよ僕の番だ。僕はゲートの前に立った。予想通りシャッターは下りた。そんなに善人ではなかったし、そこそこ人に迷惑もかけてきた。『2番ゲートへお進みください』という音声に素直に従い、僕は川下方面へ向かった。
2番ゲートにも列ができていた。船に乗る順番を待っているようだ。船の乗り場にもゲートがあり、乗る船を指定されていた。
ひとつは小型の遊覧船のような船、そしてもうひとつは今にも壊れそうなボロボロのイカダだった。途中で壊れたら川に落ちてしまうだろう。そうしたら泳いで渡るしかない。
『遊覧船へどうぞ』
僕は遊覧船の方を指示された。ラッキーだ。
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