機械仕掛けの閻魔大王

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 エマはクスリと笑った。 『ある意味、このゴーグルが閻魔大王であり地獄なのかもしれません。だって自分のした罪を、今度は自分がされるのです。後悔と苦しみが待ってるのですから』  確かに……。された苦しみとした後悔が一度に襲って来そうだ。これは辛いかもしれない。 『あなたは”死後の世界”を信じてるの?』 「それは……」  それは分からない。だって死んだ事なんて初めてだから。迷信だと思っていた。でも自分の命が短い事を知った時、物凄く考えた。死んだらどうなるのだろうかと。  娘の成長を見たい。そのためだったら幽霊になってもいい。でも幽霊なんて本当にいるのか? 僕は見たことがない。だったら全くの無になってしまうのか。それは寂しい。また生まれ変わって妻と一緒になりたい。また娘を育てたい。今度はちゃんと大人になるまで見守りたい。  生まれ変わりなんて信じていなかったが、あって欲しいと望んだ。信じた。そうでもしなかったら怖くて泣き叫んでいただろう。とても平静ではいられなかった。 「死後の世界があるなんて半信半疑でした。でも実際僕は死んでここにいる。ここが死後の世界なんですよね? でも想像していた所とは全然違う。ドローンはあるし個人判別装置もある。それにロボットも……。あなたは何者なんですか? 人間ですか? それともロボット? それからここは何処なんですか? 本当に死後の世界なんですか? 僕は死んだんじゃないんですか? 僕は生まれ変わりたいんです。でも死んでないんなら生まれ変わるなんてできない」  僕は一気に疑問をぶつけた。だっておかしいじゃないか。死んで肉体を失くし、魂だけのはずの僕がVRゴーグルをはめるなんて。ゲートにセンサーがあるとしても幽霊の僕に反応するのはおかしい。”認証”なのだ。死んだ人間に反応するわけがない。それとも霊界の技術は人間界よりも高度で、霊にも反応するのか?  するとエマは僕に顔を近付け、囁いた。 『そう。生まれ変わりなんてないんですよ』
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