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深淵の闇
電子迷宮に幾重にも施された鍵を解いていくと、やがて鋼電の門扉に導かれる。その先は選ばれた者しか進むことのできない深淵の闇。
カツカツと足音を刻むようにキーボードに暗証番号を打ち込む。ガチャリと解錠の音が響くと門扉の先から漏れ出す奇声と怒号。
「さあ、お待ちかね、デュエルノベルトーナメント五百回記念スカルデビル杯決勝戦、まもなく開始だ! 闇小説史上初の『魔文豪』の称号を手に入れるのは誰か?」
ここは闇小説闘技場。小説の面白さを競い合う賭博場だ。
参加するダークノベラーは音楽界を追放されたならず者作詞家、借金を抱え裏稼業に手を出したシナリオライター、スリルを求め危ない橋を渡る女子高生などプロフィールは様々。
ただ彼らに共通している目的は二つ。
表社会では発表することのできない物語を制限なしで執筆し賞賛されること。そしてその対価として大金を手に入れること。
バトルに勝利すれば、一般のコンテストではありえない法外な賞金を掴むことができる。
面白ければ残忍、偏見、差別など一切関係ない。盗作であろうとお構いなし。
勝者が正義、ルール無用のガチ勝負。まさに小説のバーリトゥードであった。
ベッターは1スター1000マネーからチャージできる。面白いと思った小説にベットし、スターを多く取った方が勝者となる。
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