占いなんて大嫌いだ!

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「えーと、よかったのかな…星野くんは」 場所は移って、学校の図書室。 あの後ヨッシーさんと無事はじめましてをし、 ヨッシーさんの用事ついでに三人で図書室で昼食となった。 この学校は結構自由で、休み時間特別教室が開放されているし、お弁当の持ち込みがOKだった。 「いいよ。あんな占いマニア」 「んーでもちょっと可哀想だったかも….」 第一印象から優しそうだなとは思っていたが、 ヨッシーさんは予想以上に心の優しい少年だった。 「ヨッシーさん…天使か….」 あの占いマニアの心配をしてくれるなんて。 「おう!俺のな!」 「えと、違うよ…?」 あっさりフラれた石川。 「あと不破くん、さんはいらないよ」 「はい、天使」 「ふ、普通に呼んで…」 「じゃあ、ヨッシー。俺も幸でいいよ」 「うん。幸くん」 そう言うと、ヨッシーはふわりと笑った。 なんか…男にこういう事言うのもあれだけど、 かわいい子だな…。 「なんで石川なんかと友達なってくれたんだ…」 「声にだしてんぞお前こら」 やべっ。思ったことがつい。 「あ、あはは。それは照くんが僕の趣味の話を楽しそうに聞いてくれて…」 どうでもいいが、照は石川の下の名前だ。 「あー、幽霊とかのオカルトが好きなんだっけ?」 「うん、今日も図書室にオカルト本借りにきたし、そういうところは僕も星野くんと同じマニアかなあ」 その一言に、俺は思わず立ち上がった。 「ヨッシー!!」 「えっ、は、はい!」 「それは違う!同じマニアはマニアでも、押し付けるマニアと押し付けないマニア!これは雲泥の差なんだよ!!ヨッシーは苦手な人にしつこくオカルトの話とかしないだろう!?」 「う、うん、あとここ図書室」 誰かのわざとらしい咳払いが聞こえてきた。 多少の私語は許されるものの基本は静かにが図書室だ。 「す、すみませ〜ん」 ぼそりと謝り、座り直す。 「そんなに、星野しつこかったん?」 「しつこかった…!まだ1日目なのに、これからあの席なのに絶望しかない!」 「あいつ、授業中もノートの切れ端にメッセージを書いて渡してくるんだよ!ここに生年月日を書いてね。とか!」 「女子か」 「ちょっとかわいいね」 「どこが!」 しつこすぎて、若干恐怖を感じるわ 「で、でも星野くんは星野くんで真剣なんだと思うよ」 「真剣〜?俺には面白がってるようにしか見えない。俺がちょっとトラブルとかにあいやすいからって」 「ちょっとじゃないだろ。地味に弁当も忘れるし」 「うるさい!それは購買があったからいいんだよ!」 母さんが虫メガネを持ってくる前にと足早にでたのが仇となった。 「えと、星野くん話したことがあるからわかるんだけど、本当に占いのことだと真剣だし面白がってる訳じゃないんじゃないかな…」 「え〜。てかヨッシー、星野と友達なの?」 「いや、部活見学で一緒になっただけなんだけど」 部活見学ー そういえば、入学したての一年生なのだからあって当然の行事だった。 「あ、そうだ。部活見学ってまだやってる?」 「宣伝とか勧誘はもう落ち着いちまったけど、一年生向けの見学はまだやってるぞ〜」 「うーむ」 少し考えこむ。 「幸くん、入りたい部活決まってないの?」 「入りたい…というより、入れる部活を決めないとって感じかな」 「え、入れる?」 「うん。運動部はダメだな。俺が入るともれなく試合に負けるというジンクスが生まれてしまう」 「え!?」 「あ、こいつな〜。中学の時、どこも部活入ってなかったから一回俺が入ってたバスケ部に体験入部させた事があるんだよ」 「そうしたら試合の日、レギュラーの奴が腹壊したり、遠征試合に行くためのバスが途中でガス欠したり…色々あったな…」 「楽しそうに話してんじゃねえ」 俺の苦い記憶を軽快に話す石川に腹が立ったので、足を蹴飛ばす。 つうか腹を壊したレギュラーは絶対俺のせいじゃないと今でも思う。 「いてっ!別に楽しそうじゃねえよ!あの時色々フォローしてやったのに!」 「それは……まぁ…」 「俺は幸とバスケしたかっただけなのに!」 俺だって別に辞めたくはなかった。 誘われて嬉しかったし、中学の時は小学生の頃の武勇伝が出回り、既にどこの部活にも煙たがられていた頃でもあった。 「厄病神」なんて大層なあだ名で呼んでいたはやつもいた。 「えと、なんかごめん」 なにやらまずい話を聞いたと申し訳なさそうにしているヨッシー。 「あ、昔の話だし。もう気にしてないから!ただ高校ではなんとか部活入れないかな〜なんて」 「幸の不幸体質を気にしない部活か…」 「不幸体質っていうな」 石川の足をもう一度蹴飛ばす。 「2回目!」 そんな光景を見て、ほくそ笑んだヨッシーは その後うーんとなにかを考え、弱々しく聞いてきた。 「…えと、じゃあ幸くん僕と体験入部いかない?」 「え」 「まだその、考えてるところがあって、そこちょっと変わってるから幸くんのトラブル体質も気にしないと思うよ。むしろ歓迎しそう」 「そ、そんな菩薩のような部活が!?」 「い、いやホント変わってるだけで…菩薩というよりは…」 「い、いや!でも部活動ができるならこの際…!」 「え、俺は?俺も一緒いきたい」 「黙れバスケ部!」 しゅんとしている石川をよそに、 どことなく歯切れの悪そうなヨッシーに詰め寄る。 「どこなんだ?その心の広い部活って!」 「えーと」 ヨッシーは、やっぱりいいのかな?という風に 「お、オカルト研究同好会…」 と目を泳がせながら、部もとい同好会の名前を口にした
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