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誹謗中傷を苦に自殺する人が増えたからだ。確かに誹謗中傷は良くないことだし、正義の意味をはきちがえたネットリンチは見ていて気分の良いものではない。真実の定かではないネットニュースにぶらさがり、心ない言葉を投げかける人々はまるで餌に群がるハイエナのようでもある。
しかしながら、六花は削除申請されるような投稿をした覚えがない。アンプの示す該当投稿は、ただ自分の意見を述べただけのものであって、決して人を傷付ける意図はないと六花は思っている。そう。六花は自覚がない。自分の言葉が他者を傷付けたり、貶めているという自覚がないのだ。だからこそ、客観的にそれをジャッジするアンプの存在はなくてはならないものなのだが──。
「アンプめ。こうなったらご意見を送ってやる!」
わたしはなにも悪いことをしていない。
誰のことも傷付けていない。
ただちょっと自分の意見を述べただけ。
誹謗中傷などではなく、エッジの効いたブラックジョークだ。
心の中、六花は幾つも幾つも言い訳をして自分を正当化し、怒りの矛先をアンプへと向けた。
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