アンプ

　セルフレジを監視する仕事のつまらなさといったらない。客がレジを通さずに商品をカゴにいれないかをチェックし、使い方がわからない人に教えるといった非常にバカらしい仕事だ。わざわざ万引きチェックをするくらいなら普通のレジを使わせればいいのだし、わざわざ教えるくらいならやはり普通のレジに並ばせればいいだけの話。

『そんなとこに突っ立ってるくらいならレジやってよ！』

　客にそう罵倒されたこともある。もっともだ。普通のレジは五台あり、そのうちの二台しか稼働していないのだから。だがしかし、突っ立っていることが彰子の仕事なのである。へらりと笑い「すみません」と謝ることしかできない。どれもこれもアンドロイドのせいだ。やつらがいなければ、自分は今でもレジに立っていられたのに。アンドロイドさえいなければ、パートのレジ打ちが首をきられることもなかったのに。

　そんなうっぷんを彰子はツイッタで晴らしていたのだ。世の中には悪い人間が多くいる。殺人犯を筆頭に子どもを虐待する親や動物を虐待するロクデナシ、それから結婚していながら不倫に走る芸能人など、毎日のようにネットニュースが流れてくる。そんなニュースを読んで、リプ欄に『意見』を書き込むのが彰子の密かな楽しみだった。