アンプ

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「──大変申し訳ございません」  とあるデパートの一角。  サービスカウンターでひとりの店員が頭をさげている。 「だからっ、あんたじゃ話にならないっての! 責任者を呼べって言ってんだよ!」 「大変申し訳ございません。お客様窓口の責任者はわたくしでございます」 「っ、だからっ! あんた、人間じゃないでしょ! アンドロイドだよね? 機械に謝られても誠意が伝わってこないんだよ!」 「誠意と申されましても……謝罪に人間もアンドロイドも変わりがないのではないでしょうか。人間の謝罪なら良くてアンドロイドの謝罪ではだめだという理由をお教え願えますか?」 「そ、それは……心だよ、心。人間には心があるけどアンドロイドにはないだろ。人工知能があるだけでしょ。だから、あんたに謝られても機械的で……いや、機械だし!」 「お言葉を返すようですが、お客様。確かに人間には感情という心がございます。しかしながら、その心でなにを考えているかはわかりません。申し訳ございませんと言いながら、心ではそんなことはこれっぽっちも思っていない場合もございます。それでも、人間の謝罪に誠意があるとお思いですか?」
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