アンプ

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 アンドロイドである安藤をサービスカウンターの責任者にすると聞いた時、咲子はずいぶんと反対したものだ。どんなに精密に作られていようとも、どんなに人工知能が発達しようとも、所詮、機械は機械である。客への対応に不備があったらどうするのだと、みなで反対したが決定が覆ることはなかった。  だが、今となっては安藤が責任者になってくれて良かったと思う。アンドロイドは疲れることを知らないし、感情がないため、客に対してイライラすることもない。売場の場所を聞かれたり、時には案内をしたり、先ほどのようにクレームをぶつけられたり。そういった仕事内容は心のある人間にとってはひどく疲れるものだ。  クレームの大半は最終的には「責任者を呼べ!」と叫ばれるのがお約束である。だから安藤が対応してくれると非常に楽なのだ。見た目的には人間とほとんど大差がなく見分けがつかないので、アンドロイドの場合は名札に『ヒューマノイド』と記してある。人間かアンドロイドか。その差は心があるかないかだけで、仕事には全く支障がないことを咲子は安藤と働いて身をもって実感していた。
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