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「美希ちゃん! ゲートを開ける前にある程度連中を掃除するぞ!」
「ハッ、ハッ、どういうこと?!」
「撃てるだけ撃って減らしてから開ける!」
「了解! ハッ、ハッ」
「鉄柵を撃たないように間近くで撃て!」
「ハイッ!」
二人はゲート前に辿り着いた。ゲートは高さが2mほどある。縦格子の隙間からトラックに乗る近藤と美希の夫、岡の顔が見えた。何か叫んでいる。
〝ダダン! ダダン! ダダダン!〟
「ギャアウ!」「アギョエ!」「ウゲェ!」
「こうやって隙間から額に撃て!」
「ハイッ!」
手本として見せる菅原はトラックの左側、美希は右側に付いた。目の前によだれを撒き散らし隙間から手を伸ばしている感染者の男がうめき声を上げている。美希は覚悟を決めて照準を額に合わせた。その時、
「美希ちゃん後ろ!!」
と菅原が叫んだ。振り返ると敷地内から追ってきた感染者達が追いついて襲い掛からんとしていた。
〝ダダダ! ダダダ! ダダダダ!〟
咄嗟に撃った美希の銃弾が感染者の頭部を射抜いた。目の前に倒れ込んで来たのをかわしてその後ろの感染者も狙った。
〝ダダダダ!〟
今度は少ない弾数で仕留めた。
「いいぞ! 俺がこいつらを片付ける! 美希ちゃんはトラックの周りの赤を一人ずつやってくれ!」
「ハイッ!」
菅原は敷地内から襲ってくる感染者を狙い撃ちする。1度撃ったら躊躇いが消えた美希は武器庫で菅原に言われたことの意味を噛み締めた。人としてそれが正解なのかは答えを出せなかったが。
〝ダダダ! ダダダ! ダダダ!〟
3発ずつ撃つタイミングを掴んだ。一人につき弾数は3発で決めようと美希の中のルールができた。
「弾倉のリロードも準備しろ!」
「ハイッ!」
「返り血や唾液を浴びるなよ!」
「ハイッ!」
感染するかも知れない。美希は少し距離を置く。保護ゴーグルとマスクが必要だったと気が付いた。
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