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「俺がやるさ。美希は助手席だ。荷台の上から撃ちまくればいいんだろ? 」
「そんな無駄撃ちはダメだ。美希ちゃんは一人を3発で仕留めていた」
「・・・やるさ。そうしろって言うなら」
「頼んだぜ」
夫婦だけに拓海が強がっているのが美希にはよく分かっていた。しかしここは夫を立てるべきだろうと思った。
4人は武器の積み込みを終え、脱出の作戦を立てていた。もちろん菅原がプランを指示する形だ。
「もう敷地内は感染者でごった返している。当初のプランはもう通用しないことは分かるよな」
コクリと頷く3人。真剣な表情が暗がりの中からも伺えた。
「幸いにしてゲートは開けたままになっている。後は強行突破をするのみだ。コンスケの運転、美希ちゃんは助手席、俺と岡君は荷台から襲って来る連中を仕留めていく。これは乱射じゃない、あくまで停車するような状況になった時に入り込んでくる連中を撃つということだ」
「俺はただ突っ込んで行けばええの?」
「それなんだが、あまりに大勢の感染者が前に立ち塞がったなら強行突破は止めろ。ファーストにギアを落として押し出す感じで進んでくれ。しかし決して停車をするなよ。止まってしまったら身動き取れない状況になるかも知れないからな」
「了解・・・」
近藤は運転をする責任に顔を強張らせた。
「ゲート周囲を抜けてしまえばもう大丈夫だろう。ただ連中は感染者が群がっているところに更に集まる習性がある。皆で同じ動きをするんだ。そこは日本人気質の名残があるようだ」
「そうね。こんな状況になっても集団行動を貫いているわね」
「ここを抜けても市街地エリアに一度入らないとならない。そこを避けて遠回りはガソリンの無駄遣いになるからな。どっちを選ぶかといえば当然近道をチョイスする。コンスケはあまり飛ばした状態で轢き殺すなよ」
「何でアカンの?」
「トラックがブッ壊れる」
「ああ、せやな」
「トラックに付着した血液からシェディングしてしまう恐れもある。過剰にトラックに触らないこと、グローブも外さないこと。以上だ」
そう言って菅原が武器庫から持って来たフェイスシールド付きのヘルメットを被ると、3人も続けて被った。
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