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その時だった。開かないように美希が押さえているドアに〝ドン!〟と衝撃が伝わった。
「来たわよ!」
「大丈夫だ。奴らは突っ込むことしか知らない。逆に外開きドアで良かった」
と落ち着いた口調でロッカーを押している菅原。ドアが隠れる大きさのロッカーを間近にまで移動した。「どいて」と美希に言うとドアに押し付ける。
「これだけじゃ開けられた時に倒れるから何か探してくる」
「うん。もし入って来たら叫ぶから直ぐに来てね」
「はいよ」
美希はロッカーを両手で支えた。外からは何度かドアに当たる音が続いている。何気なくロッカーを開けてみると工具や機械類の整備用具などが入っていた。使えそうだと思った。
静まり返る室内。気が付くと外からの音は聞こえなくなっていた。しかし電気は点けられない。窓から入る僅かな外灯からの灯りと非常口誘導灯だけが光源となっていた。このフロアは広い車庫のようだが車両関係は一台も駐車されていなかった。
「いいのがあった!」
奥から菅原が細い角材と単管パイプを抱えてやって来た。
「こいつでつっかえ棒をしておこう。ハンマーとかどこかにありそうだな」
「この中に色々あったよ」
美希がロッカーを開ける。「お?」と菅原はキャップのつばに固定したミニLED電灯を点けると目を輝かせた。
「オッケー、オッケー。コンクリート釘もあるじゃん」
菅原はロッカーを開けて単管パイプを斜めに立て掛けると、その末端が動かないように角材を置いて床のコンクリートに専用釘で打ち付けた。
「これで完璧。さぁ探索に行こう」
「本当にここでいいのかなぁ? 武器が余っているのかなぁ?」
「自衛隊は火薬や銃器が納めてある場所を公表しないから一般人に特定はできない。武器庫は大きな車庫と併設するから情報の信憑性は高いよ。それに全員が武器を装備して出たにしてもカラッポなんてことは無い。どのくらい確保できるかは運に任せよう」
ここは自衛隊の駐屯地車庫だった様子だ。
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