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「ありゃ?」と菅原がキャップのライトで足元を照らすと、僅かに開いた隙間から床に単管パイプが見えた。菅原は可動する範囲で扉をガタガタと揺するがパイプは一緒に動く。
「これ中から扉に固定されているぞ」
「中から? じゃあ誰かいるの?」
「分からん。中に別の出口があって最後にいた人間が細工して出て行ったのかもよ」
菅原はさらに扉を激しく揺すると扉内側にあるピースとパイプが固定されているであろう結束されたバンセンが見えた。
「あれだ!」とライフルを構える菅原。美希は素早く後ろに下がって耳を塞いだ。
〝ダダン! ダン!〟
バンセンを切断した。そして扉のハンドルを握って引くと今度は開いた。
「よし、開いたぞ。美希ちゃん電気のスイッチを探して。ここなら明るくなっても大丈夫だ」
「了解」
と美希は中に入り懐中電灯で付近の壁を照らすと直ぐにスイッチを見つけた。それを点けた時だった。5mほど離れたところに男が一人立って二人に銃口を向けていた。
「キャーー!」
美希の叫び声と同時に菅原も男にライフルを構えて叫んだ。
「誰だ!?」
「お前こそ誰だ? 所属は?」
男は陸上自衛隊の迷彩ジャケットに身を包んだ自衛官のようだった。酷くやつれ、立っているのもやっとの様子だ。同じ迷彩ジャケットの菅原を自衛官だと察したようだった。共に階級章は外してあった。
「第11師団、三船駐屯地、偵察戦闘大隊所属 菅原大雅一等陸曹」
「ほう、1曹さんかい・・・」
「あなたは?」
「俺はどうでもいい。階級なんてもう関係ねぇ。山田。ここの人間だ・・・」
そう言うと男はその場に座り込んだ。室内はテニスコートほどの空間で整然と並べられたスチール棚にはライフルや弾丸、ロケットランチャーなどが置かれていた。やはり武器庫だったようだ。
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