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「中部方面隊がどうしてここに?」
「まぁ色々巡り巡って単独でここに辿り着いた感じです。途中で何台か陸自の車両も見ましたが、動かせる状態では無かったです・・・」
「そうか・・・」
三人は床に座りお互いの事情を話し込んでいた。
「ここの車両はどこへ?」
「さぁな。あの大混乱の中、出たっ切りだ。帰って来ねぇ」
「・・・・・・」
「偵察隊ならRCVの運転が出来るだろ?」
「え? 87式偵察警戒車ですか?」
「ああ、うちのRCVは大宮方面に向かったままだ。どっかに乗り捨ててあるかも知れねぇぞ。簡単にブッ壊れないからあれば使えるよ」
「本当ですか? 大宮・・・」
菅原と美希は顔を見合わせた。
「うっ・・・。ゴホッゴホッ・・・!」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫か何なのか分からねぇ。ただある時期から空腹が無くなった。喉も乾かない。だからションベンも糞も出ない。まぁ良かったのかなぁ・・・」
チラリと美希を見る菅原。何かを悟った様子だ。
「黄色よ・・・」
美希が小声で告げると菅原は小さく頷く。
「菅原1曹もあんたも俺から離れた方がいい。スパーズに感染するぞ。俺は多分もう駄目だろう・・・」
「自分たちは大丈夫です」
「そんなこと言い切れないぞ。人類がこれで終わるんだから・・・。ハァ、8回も打たされた挙句、ワクチンなんて全く効果が無かったな・・・」
「・・・・・・」
「銃器を確保しに来たんだろ? 相手が自衛官なら問題ない・・・好きに持って行ってくれ。塩漬けにされるより銃器たちも喜ぶ・・・」
「ありがとうございます。それでは遠慮なく頂戴します」
菅原と美希が腰を上げた時、山田がポツリと呟いた。
「お願いがある・・・」
「ハイ?」
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