1・潜入

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「中部方面隊がどうしてここに?」 「まぁ色々巡り巡って単独でここに辿り着いた感じです。途中で何台か陸自の車両も見ましたが、動かせる状態では無かったです・・・」 「そうか・・・」  三人は床に座りお互いの事情を話し込んでいた。 「ここの車両はどこへ?」 「さぁな。あの大混乱の中、出たっ切りだ。帰って来ねぇ」 「・・・・・・」 「偵察隊ならRCVの運転が出来るだろ?」 「え? 87式偵察警戒車ですか?」 「ああ、うちのRCVは大宮方面に向かったままだ。どっかに乗り捨ててあるかも知れねぇぞ。簡単にブッ壊れないからあれば使えるよ」 「本当ですか? 大宮・・・」  菅原と美希は顔を見合わせた。 「うっ・・・。ゴホッゴホッ・・・!」 「大丈夫ですか?」 「大丈夫か何なのか分からねぇ。ただある時期から空腹が無くなった。喉も乾かない。だからションベンも糞も出ない。まぁ良かったのかなぁ・・・」  チラリと美希を見る菅原。何かを悟った様子だ。 「黄色よ・・・」  美希が小声で告げると菅原は小さく頷く。 「菅原1曹もあんたも俺から離れた方がいい。スパーズに感染するぞ。俺は多分もう駄目だろう・・・」 「自分たちは大丈夫です」 「そんなこと言い切れないぞ。人類がこれで終わるんだから・・・。ハァ、8回も打たされた挙句、ワクチンなんて全く効果が無かったな・・・」 「・・・・・・」 「銃器を確保しに来たんだろ? 相手が自衛官なら問題ない・・・好きに持って行ってくれ。塩漬けにされるより銃器たちも喜ぶ・・・」 「ありがとうございます。それでは遠慮なく頂戴します」  菅原と美希が腰を上げた時、山田がポツリと呟いた。 「お願いがある・・・」 「ハイ?」
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