1・潜入

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「でもどうするの? 入口ゲートは閉まっていたでしょ?」 「だな。でも鍵じゃない。中から開けられる」 「開けたら敷地に赤が雪崩れ込んで来るわよ」 「だな。ヤバイな」 「ヤバいなって・・・」 「じゃあどうやってこれだけの武器を運ぶんだよ?」 「そりゃあ車じゃなければ無理なのは分かるわよ」  頼りの菅原が無策だったのかと不安になる美希だが、次の菅原の提案に身が引き締まる思いをすることになる。 「コンスケにゲート前にトラックを付けてもらう。俺と美希ちゃんで敷地内の残党を片付けながらゲート前まで行ってゲートを開ける。トラックが敷地内に入ったら速攻でコンスケと岡君にもライフルを渡して応戦してもらう。その間に俺と美希ちゃんでゲートを閉める」 「え~? コンちゃんは大丈夫かもだけど、旦那はライフルなんて撃てないよ。私だってそんなの撃ったことないよぉ」 「そりゃそうだ。今から撃ち方を教える。まずはコンスケに連絡だ」 「う、う~ん・・・」  と美希は腰ベルトに固定してあった小型無線を弄り始める。菅原は武器の選定の続きを始めた。 「コンちゃん聞こえる~?」 『聞こえるよ~。どうやった?』 「やっぱり武器庫だった」 『マジか~? やったやん!』 「うん、それでトラックで運び出したいんだけど、今どこにいる?」 『さっきの入口から100mくらい離れたところ』 「分かった。そうしたら、正面のゲート前にまで来てもらいたいんだけど」 『ゲート開いてないやん』 「そう、それでなんだけど」  美希は搬出のトラックが無かったことと菅原の作戦を説明した。 『それめっちゃヤバイやん。怖いわ』 「でもやるしかないよ。旦那にも説明してやって」 『聞こえてるってさ』 「それじゃあくれぐれもライトは消して徐行で移動してね。連中が集まらないように気を遣ってね。待機中はエンジン切ってよね」 『そんなん分かっとるわ。せやけど多少は集まってまうで』 「うん、仕方が無いよ。じゃあ着いたら連絡して」 『了解』  こんな危険な行動は全員が初めてだった。しかしどこかでしなければならない時が来るだろうとは誰もが思っていた。
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