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2・突破
「これは20式5.56㎜小銃。いわゆるアサルトライフルだ。2020年から採用された新しい自動小銃。だからニーマル。美希ちゃんも皆もこれを使う」
菅原は弾倉をセットし美希に20式小銃を手渡す。
「菅原さんのより何だかゴツゴツしてるね」
「俺のは89式5.56㎜小銃。通称ハチキュー。前期モデルさ。こっちに慣れているから俺はこれを使ってる」
「私もハチキューがいいなぁ。こっちは重そう」
「重さは一緒で長さは俺の方が長い。20式の方が使い回しがいいよ。ちょっと構えてみて」
美希は何となく映画などで見たイメージで構えてみた。菅原は美希の後ろへ回ると左肘と右上腕をクッと締め上げるように修正する。
「お? いいじゃんサマになってるよ。あとは引き金を引くだけ。撃ってみ」
「え~? どこを撃つの?」
菅原は一瞬考えた。そして言った。
「そっちで倒れている山田さんだ」
「え・・・?」
「もう死んでいる」
「本気で言ってるの・・・?」
「ああ本気だ」
美希は菅原の心理がその時は理解できなかった。おかしくなったのかと不安になった。
「さぁ、こっちに来て」
「・・・・・・」
二人はうつ伏せに倒れている山田から3mほど近くに立った。
「あらかじめ撃つ場所を決めてそこを狙って撃つんだ。照準はこれ。左目を瞑って右目で合わせる。さぁ撃って」
「・・・・・・」
構えてみるものの躊躇している美希。
「ダメ・・・撃てない・・・!」
と銃身を下ろしてしまった。菅原はそんな美希に眉間にしわを寄せて目を細めた。
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