レベル1〜作戦開始〜

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レベル1〜作戦開始〜

 更紗の情報は自分の席に座っているだけでも、滝のように流れてくる。しかし、82人目の告白者が今日も振られたことや、廊下を歩く姿を見ただけで男子が失神したなど、どれも更紗を神格化したような情報ばかりでなんの参考にもならない。まあ、最初から分かっていたけど、予想の範疇を軽く超えてくるくらい彼女の人気と倍率は高い。周囲は告白をして顔を覚えられているこもしれないのに、話しかけることさえできていない、なんの進展のない状況にアレンは焦燥感を覚える。 「くっ、この手は使いたくなかったが…………」  彼女の机の前で荷物を落として、彼女に拾ってもらって、ありがとうついでに自己紹介をして名前を覚えてもらう作戦だ。名前が長いことはさて置き、彼女の見ている世界の中に入り込みさえすれば、最低レベルでも恋愛争奪戦のエントリーできる。と考え早速行動に移ろうと、自分の席から立ち上がり、彼女の席まで筆箱を思って歩みを始める。 「次の授業は移動教室だから、早めに移動していると思われるから大丈夫!」  なんで、僕はゲームの世界でも授業を受けているのだ?と疑問に思うが仕方がない、それが()()()の特性なのだから。席に座る生徒の間を潜り抜け。机彼女の元まで歩みを進める道中、まるまると肥えたという言葉が似合うくらいに、大きな体つきをしたメガネ男子のスマホの画面を覗いてしまう。お前なんで、更紗の写真を持って…………。  いや、今そんなことは関係ない、早くしないと、真面目な彼女は移動教室をしてしまう。そう考え、彼女の元まで早歩きをして、予めチャック全開にしておいた筆箱だけを落とすつもりが、更紗の席の目の前で思いっきり足を踏み外してズッコケる。  恥ずかしい…………。  
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