〇桜川病院・階段踊り場

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もしかして、見られた……。 セッシを拾うのに必死になって、両膝が左右に大きく開けていた。 でもまあいいか、白衣の時はいつも黒のミニスパッツを履いているし、見られたところで、あっ……、今日は着任初日で、スパッツを持ってくるのを忘れていた。履いていない……。 やばい……。今日はどの下着を履いてきてたっけ……。 恥ずかしすぎて、目が合ったことをなかったことにして、私はセッシを拾い続けた。 すると突然爽やかな風が頬をかすめ、人の手が視界の中に入ってきた。 きれいな長い指をしたその手がセッシを拾い上げ。スクラブの袖から伸びた腕の筋肉が力強さを物語る。 それに釣られて視線を上げると、大丈夫か? と優しく声を掛けられた。 と思ったら、拾ったセッシをカチカチと摘み、先端にズレがないかを確かめている。
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