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「七瀬さんには北二階病棟を受け持ってもらいます。では皆さん、ミスのないよう細心の注意を心掛け、今日も一日頑張って下さい」
前原師長の言葉にスタッフからの「はい」という言葉が返されて、朝の申し送りが始まった。
夜勤帯の看護師から日勤帯の看護師へ、担当患者の昨夜の状態、おこなった処置や注意事項等、申し送りは多岐にわたり結構な時間を要することになる。
それもようやく終盤に差し掛かった頃、あの男が現れた。
「回診に行くから処置車を持ってきてくれ」
「秋月先生。今、申し送り中なので少し待ってもらえますか」
前原師長がそう言うと「じゃあ北二階から回り始めておく。終わり次第すぐに来てくれ」と言い残しナーステーションから出て行った。
前原師長が私の方に振り向いた。
「今のが秋月直哉先生。今は確か33歳だったかな。この病院の主力整形外科医よ」
やはりここの医者だったか。
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