アルミケースの受け渡し

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 大和拓郎はベリーショーヘアのイケメンであるが、死者から目覚めた時にスラムダンク(漫画)の三井寿に似せて形成され、本来自分がどういう顔をしていたのか記憶がない。 「まっ、イケメンの拓郎がそう言うならいいよ」と、双眼鏡を首に掛けた福子が拓郎に微笑み掛け、「嫌味か?」と拓郎が横目で睨む。  真実かは不明だが、福子は子供の頃に拓郎と近所の公園で遊んだ記憶があり、本当の顔を知も知っていて、今の顔とは全然違うと揶揄っている。  拓郎がパーカーのポケットからトランシーバーを取り出し、到着ロビーを見張っている坂本和也(25歳)に連絡した。 「ユージン・レブノフを確認し、搭乗者に怪しい者は見当たらない。そっちはどうだ?」 「こっちも問題ない。10分後に待ち合わせ場所で、俺が先に接触する」 (大和拓郎、島津福子、坂本和也の三名とも広島に原子爆弾を投下された時の犠牲者であるが、霊体が完全に形成されたのは10年程前の事であり、現代の流行にカスタマイズされている。)
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