ヴィクトルとドミニカの来襲

2/2
前へ
/111ページ
次へ
「バカか?イエローとグリーンって、心を落ち着かせる睡眠サプリだろ。戦う気も失せたか、ユージン・レブノフ……」  ヴィクトルは床のビーンズと呆然と座り込むユージンを見て嘲笑い、起き上がろうとする坂本和也の頭を踏みつけて、右手を伸ばして掴もうとするアルミケースを奪う。  ユージンはシェフチェンコを抹殺したKGBの男を上目遣いに睨み、自分の名前を知っている事と、受け渡し場所に出現した事に疑問を抱く。 「なぜだ?」 「安心しろ。お前のヘマではない。サウジ経由で日本へ持ち込むとはグレートだ。しかし、口の軽い者が災いをもたらす」  ヴィクトルはウクライナの亡霊議員を捕らえて拷問し、ユージン・レブノフが日本へ重要機器を持ち込み、広島空港の待合室で日本の工作員に渡すと白状させ、同僚のドミニカと移送装置で霊ゾーンへ侵入して広島空港へワープした。  和也は打撃のダメージで動けなかったが、アルミケースを持って霊ゾーンへ侵入できない事を知っていたので、慌てずに仲間の援護を待つ。  この時、拓郎もワープで武器は運べないと考え、ロビーの空間に出現した大柄な女性に接近し、截拳道(ジークンドー)の打撃でロビーの隅へ押し返したが、筋肉質でパワー系のくせにフットワークで受け流して見えた。  金髪長髪のドミニカは元ヘビー級のレスリング選手で、KGBの猛者の中でも格闘技では負けた事がなく、日本の工作員との武術バトルを楽しみ、ヴィクトルがアルミケースを奪う時間稼ぎを演出している。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加