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福子を少女と侮るなかれ
「こいつ、囮だ。福子、ここは俺だけでいい」
「拓郎、ひとりで大丈夫か?」
拓郎が背後の守りを固める福子に指示を出し、猫足立で敵のリズムを計っていた福子はそろそろ攻撃に転じようとしたが、確かに誘うように後退したと背を向け、坂本和也とユージンのいる特別待合室[弥山]へ走り出す。
ドミニカは拓郎が視線を外したのを見逃さず、ローキックで拓郎の太腿を叩き、ファイテングポーズをして「Come on」と挑発して微笑む。
「お前の相手は私よ」
「日本語を喋れるのか?」
「柔術は日本人に習った。お前の構えはジークンドーね」
「ブルース・リーが師匠だ」
(霊界には暗黒の霊界ゾーンと生者の世界を視認できる連結ゾーンがあり、霊体を形成する物質構造の違いがあり、前者は幻影的な幽体[エネルギー体]に近く、連結ゾーンに召喚されても数十分しか存在できず、ブルース・リーは武術の講師として霊ゾーンより招かれたと云える。)
「面白い。でも、私に通用するかな?」
「それより、仲間は何人だ?甘く見てたら、後悔するぜ」
ドミニカは拓郎を引き止めれば問題ないと想定し、福子が加勢に向かった事は気にせず、ヴィクトルがアルミケースを持って現れるまでバトルを楽しむつもりだった。
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